最高裁:形式上のみの転貸借

昭和46(オ)640 建物明渡請求 
昭和46年11月04日 最一小判
裁判要旨抜き書き

1、〜無断転借人が、賃借人とその親族らにより税務対策上設立された有限会社で、同一営業を継続〜建物の使用状況に変更がないなど〜の事実関係〜転貸借につき〜信頼関係を破壊〜と認めるに足りない特段の事由があり〜解除は許されない。

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(抽出・加工あり。原文参照)

被上告人B1と同有限会社B2との〜転貸借には、賃貸人に対する信頼関係を破壊〜と認めるに足りない特段の事由があり、これを理由とする賃貸借契約の解除は許されない〜〜解約の申入には正当の事由があるものとは認められない〜

裁判官大隅健一郎の意見

(一)〜被上告人B1は〜建物を貸借し〜肉屋を経営〜〜昭和三一年〜同人が代表者になつて被上告人有限会社B2〜を設立〜爾来〜経営は被上告会社の名義をもつて行なわれてきた〜、同会社の設立はもつぱら税務対策のため〜にすぎず、社員も右B1ほかその弟Dおよび二名の親族〜、〜建物の使用状況も従前と全く同一〜。

 〜原判決〜は〜B1と被上告会社との間に〜転貸借が成立〜を認め、ただ、かかる事情のもとにおける転貸借は全く形式的〜にすぎず〜従前よりの〜信頼関係が破壊〜とはいえない〜右のような転貸借を理由にしては〜解除権は発生しない〜として〜主張を排斥〜多数意見も〜これを是認〜

(二)〜貸借人が自己の個人営業を単に法律的、形式的にのみ会社組織に改め〜会社をして自己の貸借物の使用収益をさせ、その前後を通じて、営業の規模、内容等その実体に変動がなく、経営の実権も従前どおり賃借人の手にあり、貸借物の使用の状況にも格別の変化がない場合〜、賃借権の譲渡〜貸借物の転貸が成立するものとし、ただこの場合〜背信行為〜に足りない特段の事情がある〜、〜解除〜は許されないとする〜、〜(昭和39年11月19日一小判〜)〜多数意見もこれに従うもの〜。

 〜しかし〜私は異見〜。〜右のような場合に賃借権の譲渡〜転貸が成立すると解することは不自然〜、むしろ〜譲渡も〜転貸も〜ない〜と解するのが適当〜。
〜賃貸借関係の本質的内容である物の使用収益は事実上の状態〜、〜いかなる名義をもつて〜かかわりがなく〜問題となるのは何人がどのような仕方で〜使用収益をなすかである。
〜名目上は会社が〜使用収益〜、〜法人格は全くの形骸にすぎない〜法人格を否認し、背後にある実体たる個人をとらえてその法律関係の処理をはかるのが、事の実相に適する〜。〜譲渡も〜転貸もない〜。

研修:「借地借家法」(山内鉄夫先生)で引用されていましたので読んでみました。
研修:「借地借家法」・引用判例等