Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

議事録の契印

契印のない理事会議事録が送られてきました。
これから理事全員(5〜6名)の契印をもらい直してもらうのは大変だろうとな、思いました。
確か、一人だけの契印でも問題なかったと思うけど・・・・

(注)2 株主総会議事録が複数ページになる場合には,各ページのつづり目に契印してください。
契印は,議事録署名者のうち1名の印鑑で構いません。→法務局HPの記載例から

「一般的に、慣習として代表者だけの契印が押される場面が多い〜〜、〜代表取締役だけが契印している議事録もよく見かけますが、本来は出席者全員で行うのが理想〜。」→と書いておられる方もおられました。

しかし、そもそも、本来は、契印が全くない場合でも却下事由にはならないんじゃない?
なんて考えてググッテみたら、同じことを考えて、法務局に問い合わせた方がおられました。

株主総会議事録の契印がない場合でも、その登記申請は受理せざるを得ない」
〜法務局によって扱いが違うことはありえますので〜注意〜→司法書士・手塚宏樹のブログ

先例上も次のものがあります。

 〜登記原因を証する書面及び登記原因につき第三者の許可等を証する書面等については、商業登記取扱手続第25条(現商業登記規則第48条)の適用はない〜また一定の形式を定められたものもない〜、〜文字の記載方の不備、契印もれ等を理由として登記の申請〜を受理しないことは相当でない。
大正9年03月18日民事931局長通達)

かと言って、必ずしも、「契印なしok」と言うわけでもないようで、新保さゆり先生は、次のように書いておれます。

「全訂詳解商業登記〜」〜によりますと、「〜添付書類が数葉にわたる場合において各葉の間に継続性が認められないときは、添付書類の不備を理由として却下されることがある。」との記述〜。〜不備〜かどうかは法務局の主観〜

〜今は議事録の契印はかなり緩やか〜、取締役会議事録は代表印だけで良いみたいですし〜、株主総会議事録は契印なしでもOK〜。
〜法務局によって取扱いは異なる〜。→割印と契印 - 司法書士のオシゴト・コメント欄

一方、登記申請書については、きちんと定めがあります。(以下、抽出・加工あり。原文参照)

不動産登記規則

(契印等)
第46条 申請人〜〜代理人は、申請書が2枚以上であるときは、各用紙のつづり目に契印をしなければならない。
2 前項の契印は、申請人〜〜代理人が2人以上ある場合は、その1人がすれば足りる。〜権利者〜義務者が共同〜申請をするときは、〜権利者〜〜代理人及び〜義務者〜〜代理人の各一人がしなければならない。
3(略)

商業登記規則

(申請書の記載等)
第35条〜。
2(略)。
3 申請人〜〜代理人は、申請書が2枚以上であるときは、各用紙のつづり目に契印をしなければならない。
4 前項の契印は、申請人〜〜代理人が2人以上であるときは、その一人がすれば足りる。

ま、議事録についても、申請書に倣って、少なくとも1名のみは、契印をもらっておいた方が良さそうですね。

但し、「手続上不要であること」と、「適正な手続を管理すること」や「トラブルを回避すること」などは別問題ですし、司法書士が企業法務を標榜するようになった現在、「登記が通れば良い。」と言う時代は終わりました

私は、ケースによっては、
実印でなくても良い書類でも、あえて実印をもらったり、
記名押印で可能な場合にも、あえて「署名」をもらったり、
代表印の押印によって、他の取締役の印鑑証明書を省略できる場合でも、あえて全員実印をもらったり、
内容によって工夫するよう努めています。

契印の要否についても、議事録の内容によっては、是非もらっておいた方が良い場合も少なくないのではないかと思います。

サインする場合の「契印」の処理 - g-note(Genmai雑記帳)