Genmai雑記帳

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東京高裁:死亡を知らずに払い戻した場合

 銀行法務21・№800(2016/5)に、銀行が預金者の死亡を知らずに、相続人の1名に対して一部を払い戻しをしたケースについての、東京高判の解説が載っておりました。
 払い戻した金額は、その相続人の相続分の範囲内だったようですが、他の相続人が、払い戻し前の金額に対する相続分の払い戻しを求めたのに対し、銀行は、478条による有効な弁済だと主張したものです。

第一審は、上記払い戻しは、相続分からの一部払い戻しと認めることができる、としたのに対し、
東京高裁は、478条の「債権の準占有者」への弁済にあたるとしたものです。
上告があったようですので、詳しくは、最高裁判決が出てからみることにしますが、

筆者は、
「預金者について相続が発生したがそれを金融機関が知らなかった場合にも、真正な預金通帳および届出印を所持している者に対して、弁済受領権限について疑いを抱くに足りる特段の事情なく支払った場合には、民法478条の(類推)適用があること」が高裁レベルで明らかになった、と書いておられます。