Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

外国籍の売主・証明権限、原因日より前の委任状

少し前のことですが、nsrに、「宣誓供述書の証明権限」と言う記事がありました。
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昨年、私も、元日本人からの売買の登記を受任しました。
国籍はフランス、登記簿上の住所はフランス国内、現住所はベルギー国内。

本人確認、本人の意思確認、宣誓供述書なりサイン証明の入手、代金決済の方法など、数々の困難にぶつかることになりました。
特に困ったのは、宣誓供述書なりサイン証明の証明権限の問題です。

登記官は、「フランス官憲なりフランス公証人の証明でないとダメだ。」と言い張るし、本人は、「そんなことはありえない。EUは一つだ。」と言い張るし、
登記官に対しては、「アメリカについての先例もありますし・・・・」などと説明したり、
本人に対しては、「EUの条約の効力は日本には及ばないし・・・このようなケースでは・・・・・」などと説明したり、また、サイン証明な意味や手続方法を説明したりして・・・・・

果ては、東京のフランス大使館やベルギー領事館などにも電話したり、メールを送ったり・・・・・・
本人とのメールのやりとりは、今、数えてみると、ざっと40通はあります。

在ベルギーのフランス領事館が、本人の居住地から、かなり遠かったことや、本人がフランス官憲はとても不親切で、関わりたくないと言う気持ちがあったことも大きかったのですが・・・・

上記NSRの記事には、登記インターネット102号(2008年6月)「実務家の研究ノート」(小山博実登記官)の紹介があり・・・・・・、あの時、このことを知っていたら・・・・・、とつくづく思いました。

それにしても、登記義務者からの委任状に外国官憲の証明をとろうとすると、委任状に日付が入ってしまいますから、この日付は、物権変動たる所有権移転の「後」である必要があると考えると、代金決済との問題ではこれもなかなか困難な問題でした。
(一応、下記のようなものがありはするようですが・・・・・・)
原因日より前の委任状(月報司法書士) - g-note(Genmai雑記帳)

今、まさにイギリスがEU離脱するかどうかと言うニュースが流れていたのもあって、思い出しました。