Genmai雑記帳

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最高裁:遺留分減殺、価額弁償の効果

平成18(受)1572 遺留分減殺,建物明渡等請求事件
平成20年01月24日 最一小判
裁判要旨抜き書き

 遺留分減殺請求を受けた受遺者が1041条1項の〜価額〜弁償〜の意思表示をし〜遺留分権利者が〜価額弁償を請求する〜意思表示をした場合〜その時点において〜遺留分権利者は〜遺留分減殺によって取得した目的物の所有権+所有権に基づく現物返還請求権をさかのぼって失い〜価額弁償請求権を確定的に取得する。

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・原文
(抽出・加工あり。原文参照)

(4) 上告人らは,平成8年8月〜遺留分減殺請求権を行使〜公正証書遺言により取得した遺産につき,それぞれその20分の1〜部分を返還するように求めた。
(5) 上告人らは,平成9年11月〜本訴を提起〜不動産の持分移転登記手続等を求めたところ,被上告人Y2は平成15年8月〜,被上告人Y1は平成16年2月〜それぞれ〜価額弁償をする旨の意思表示〜。〜上告人らは,平成16年7月〜の第1審の口頭弁論期日において,訴えを交換的に変更〜価額弁償請求権に基づく金員の支払を求めるとともに〜相続開始の日である平成8年〜から支払済みまで〜年5分の〜遅延損害金の支払を求めた。

第1審

遺留分減殺請求をした日の翌日である平成8年〜から支払済みまでの遅延損害金〜認容〜。

原審

〜特定物の遺贈につき履行がされた場合に〜1041条の〜目的の返還義務を免れるためには,単に価額の弁償をすべき旨の意思表示をしただけでは足りず,価額の弁償を現実に履行するかor履行の提供をしなければならない(〜昭和53年(オ)907同54年07月10日三小判〜)。

〜もっとも〜不動産の持分移転登記手続を求める訴訟において,受遺者が〜裁判所が定めた価額により〜1041条①の〜価額の弁償〜の意思表示をした場合には,裁判所は〜事実審口頭弁論終結時を算定の基準時として弁償すべき額を定めた上,受遺者がその額を支払わなかったことを条件として,遺留分権利者の請求を認容すべき〜(〜平成6年(オ)1746同9年02月25日三小判〜)。

〜この理は〜受遺者が〜価額の弁償〜の意思表示をし〜遺留分権利者が訴えを変更してその弁償金の支払を求めるに至った場合〜異なるものではなく,
〜訴えの変更によって受遺者のした意思表示の内容or性質が変容するものとみることはできないから,遺留分権利者は,裁判所が受遺者に対し〜1041条の〜価額を定めて〜支払を命じることによって初めて〜弁償すべき価額に相当する額の金銭の支払を求める権利を取得する〜。
したがって〜遅延損害金の請求は,本判決確定の日の翌日以降〜で理由がある。

最高裁

(1) 受遺者が〜遺留分減殺に基づく目的物の現物返還請求を受け,遺贈の目的の価額について履行の提供をした場合〜,〜目的物の返還義務を免れ,他方〜遺留分権利者は,受遺者に〜弁償すべき価額〜の支払を求める権利を取得する〜(前掲〜昭和54年07月10日三小判〜,前掲〜平成09年02月25日三小判〜)。

また〜受遺者が遺贈の目的の価額〜履行の提供をしていない場合で〜も〜価額を弁償〜意思表示をしたときには,遺留分権利者は〜遺留分減殺に基づく目的物の現物返還請求権を行使することもできるし,それに代わる価額弁償請求権を行使することもできる〜(〜昭和50年(オ)920号同51年08月30日二小判〜,前掲〜平成9年02月25日三小法判〜)。

遺留分権利者が〜価額弁償を請求する権利を行使する旨の意思表示をした場合〜,〜遺留分減殺によって取得した目的物の所有権+所有権に基づく現物返還請求権をさかのぼって失い,これに代わる価額弁償請求権を確定的に取得する〜。

したがって〜価額弁償を請求する権利を行使する〜意思表示をした時点で,遺留分権利者に対し〜価額〜弁償〜義務を負うというべきであり,同価額が最終的には裁判所によって事実審口頭弁論終結時を基準として定められることになっても(前掲〜昭和51年08月30日二小判〜),同義務の発生時点が事実審口頭弁論終結時となるものではない。
〜1041条①〜価額弁償請求に係る遅延損害金の起算日は〜価額弁償請求権を確定的に取得し〜支払を請求した日の翌日〜になる。