新株割当の条件記載の要否(商業登記の補正)

商業・法人登記の補正 - g-note(Genmai雑記帳)に記載した、「上記第三者から申込みがあることを条件とする」と言う文言の要否について、かなり「深い」お話しが出ており、勉強になりました。

なぜ、補正になるか、と言うことについて、登記官の方が下記できちんと説明されておられます。(内藤先生情報・感謝)
法務局の業務に関するQ&A:募集株式の発行(取締役会非設置・第三者割当)に係る条件付決議の記載について

なるほど、そう言う根拠だったのですね。
とても勉強になりました。

しかし、矢部さんの記事にある、

登記官には当該条件が明示された議事録〜によって条件が成就し、割当ての効果が発生〜が客観的に明らかであることによる。

と言う所についての、この登記官の方の、

法務省〜も〜申込み〜を条件とした場合に限り,募集事項を決定〜と同一〜総会で,割当〜事項を決議〜できるという見解〜対外的に示している〜。〜「〜を条件とする。」と記載されていないと〜調査担当者は、添付書面から条件付で決議がされたこと確認〜できません。

と言う記載については、言っておられる意味もわからないことはないですが、「そうかな?」とも思ってしまいました。

矢部さんの記事は、同時決議を認めることの「理屈付け」として書かれたものと思え、
議事録文言の記載だけ拾えば、確かに「確認できない」と言えるかもしれないですが、
実際の所、条件が書いてあろうがなかろうが、割当先として書かれている者に割り当てられており、その結果として、その者の申込証なり、総数引受契約書なり、払込証明書が添付されていた場合、「新株発行があったこと」や「資本の増加があったこと」にならないでしょうか?
(想像力不足の私などの考える限りでは、通常である限り「ならない」場合を想定できません。)

登記官も法律専門職であり、法解釈を行う専門家であることは言うまでもないと思います。
「条件文言」のあるなしではなく、実際の事例に対する「解釈」として、上記「条件が満たされているかどうか。」とか、「その効力が否定できるかどうか。」とか、申請内容から「善解できるかどうか」などを判断できる能力を、当然有しておられます。

その上で、こうした有無を「補正」として扱うのは、「解釈的判断はしない。通達等で示されてるもののとおりでないと補正。」と言う姿勢とも思え、むしろ古い時代の取り扱いを思い出します。(電子申請が多くなった現在、法務局は、昔のような小さな誤記補正などしなくなりました。)

内藤先生は、「因数分解〜により〜手続を分けたという点も好感」とされながら、「会社法の原則に沿うように」の方にシンパシー〜、と書いておられます
また、
「添付書面は〜手続の流れが〜原則と相違する場合には,例外として許容されることが一見明らかとなるように,「条件付き」等,事実のとおりに作成することになる」とも書いておられます

しかし、むしろ会社法的な因数分解によれば、(「順序にこだわらない会社法」的に言えば、)上記の条件付決議だったかどうかと言うより、結果的に条件が満たされていることが分かれば充分、と言うふうに考えられないでしょうか?

また、ここで問題としているのは、「添付書類の作成方法」の問題ではなく、
「作成された添付書類を有効と解釈できるか?」とか「補正指示は適正か?」と言うことだと思いますし、
そう言う意味では、「添付書類は、我々、司法書士が作るもの(大半の実体はそうでしょうが)だから、こう作れば良い。」とおっしゃるのは、ここでの問題とは少しズレているようにも思えました。(いつも感謝している内藤先生に、もし、失礼な書き方なようでしたらゴメンナサイ m(__)m)

金子大先生も、補正は行き過ぎだとのお考えを書いておられます(2016.06.29(水)【申込み条件不記載の割当問題】が、私は、むしろ、優秀な法律専門職である登記官の、今後の「(法)解釈力」に期待したいと思います。