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最高裁:減殺すべき贈与があったことを知った時

昭和54(オ)907 所有権移転登記等抹消登記手続
昭和57年11月12日 最二小判
裁判要旨抜き書き

1 〜減殺すべき贈与があつたことを知つた時とは、「贈与の事実」+「減殺できるものであること」を知つた時〜。
 
2 遺留分権利者が〜贈与の無効を訴訟上主張していても、〜財産のほとんど全部が贈与されたことを認識していたときは〜無効を信じていたため遺留分減殺請求権を行使しなかつたことにもっともと認められる特段の事情のない限り〜減殺〜できるものであることを知つていたと推認する~〜

裁判例結果詳細・・・原文
(抽出・加工あり。原文参照)

〜1042条にいう「減殺すべき贈与があつたことを知つた時」とは、贈与の事実及びこれが減殺できるものであることを知つた時

遺留分権利者が贈与の無効を信じて訴訟上抗争しているような場合は、贈与の事実を知つただけで直ちに減殺できる贈与があつたことまでを知つていたものと断定することはできない〜(大昭和12年(オ)1709同13年02月26日〜)

 民法が遺留分減殺請求権につき特別の短期消滅時効を規定した趣旨に鑑みれば〜訴訟上無効の主張をしさえすれば、それが根拠のない言いがかりにすぎない場合であつても時効は進行を始めないとするのは相当でない〜

〜被相続人の財産のほとんど全部が贈与されていて遺留分権利者が右事実を認識しているという場合においては、
無効の主張について、一応、事実上及び法律上の根拠があつて、遺留分権利者が右無効を信じているため遺留分減殺請求権を行使しなかつたことがもつともと首肯しうる特段の事情が認められない限り、
右贈与が減殺することのできるものであることを知つていたものと推認するのが相当〜。

 
新法施行後の「遺留分侵害請求」においても同様ですね。〈改正相続法と家庭裁判所の実務P255〉
〈R020603改記〉

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