Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

★法定相続情報証明制度-法務省

〜相続人)全員の氏名や本籍などの情報をまとめた証明書を発行する制度を法務省が始める。
 これまでは不動産や預金を相続する際〜それぞれ全員分の戸籍などを提出する必要があった〜一度必要な書類をそろえて法務局に提出すれば、以後は証明書1枚で足りるようになる。〜
〜来年5月の開始を目指す。

〜「関係図」をつくり〜法務局に提出〜。法務局は〜無料で公的な証明書として保管し、写しを発行〜。
それを法務局のほか、銀行や証券会社などでも利用できる〜
相続情報の証明、新制度で省力化 証明書1枚で手続き可:朝日新聞デジタル

〜相続人や金融機関などの負担軽減を図る〜登記を促して所有者不明の不動産を解消〜
〜政府が6月に決定した「ニッポン1億総活躍プラン」などに盛り込まれていた。
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-160705X334.html


大変、結構なことだと思います。(考えてみれば、早くやるべきでしたね。)

だけど問題は、法務局の仕事が増えることになることですね。
私なども、戸籍を見ない日はないぐらい、「相続まみれ」的な日々を送っていますが、
慣れていても、これに要する時間は少なくなく、法務局の職員も同様でしょうから、更に大変になるんでしょうね。

一方、この制度は「司法書士業務のアドバンテージになる」などの見方から歓迎する向きもあるようです。

しかし、そうした見方は、「相続関係戸籍等を収集すること、これをきちんと読み解いて、法律上、正確な関係図を作成することは容易ではない、だからこれまで、専門職として司法書士がこれを得意としており、上記新制度においても、司法書士がこれを担うことになる、」と考えてのことでしょうが、

新制度では、例えば銀行で相続手続をしようと思うと、市役所の窓口で一応相当と思われる範囲の戸籍を取って法務局の窓口に行き、関係図のひな型を見ながら書いてこれを法務局に申請する、と言うことも出てくるのかも知れません。

そうすると、大半の場合、何度も何度も、不足戸籍等を追加することになり、関係図も何度も何度も書き換えることになりましょうが、現在の法務局のあり方としては、これに付き合って、証明できるところまで援助していくしかないのではないでしょうか?

これは大変な作業になると思われます。

つまり、この制度自体は、相続関係を「証明する制度」と言う建前でしょうが、実際には、
法務局が、「相続戸籍等の収集作業」や「相続証明書面作成」を援助する制度になり得るわけです。しかもそれを「無料」でやってもらえるのです。

やがて、「相続関係はこれです。」と言って、自分で取得した法務局の証明を持ってきて、相続登記の依頼があるような時代になるかもしれません。
(いや、そこまでやってあれば、ついでに法務局が登記申請の「援助」もしてくれるかもしれませんね。)

場合によっては、司法書士の「営業」に悪い影響が出るかもしれない、と言う点については、
それはそれで時代の流れであるなら仕方がないでしょう。(相続登記の報酬が減っていく流れとなるとしても我々もそれに対応してゆくしかありません。)

しかし、現在も登記相談を予約制にしているような状況の中で、上記のようなことが一般化した場合、果たして、法務局が対応しきれるのでしょうか?

ついに開始
★法定相続情報証明、5月から! - g-note(Genmai雑記帳)