Genmai雑記帳

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大阪高裁:特別受益の持戻し免除あるときの遺留分

平成10年(ネ)3675 遺留分減殺請求事件
平成11年06月08日 大阪高判
要旨抜き書き

 〜903条①の〜贈与の価額は、被相続人が持戻免除の意思表示をしている場合であっても、1030条の定める制限なしに遺留分算定の基礎となる財産の価額に算入すべき

(以下、抽出・加工あり。原文参照)
(前略)

 法は、遺留分算定の基礎となる財産は、「相続開始時の被相続人の財産」と「贈与した財産」〜とし〜「債務の全額を控除」して算定〜を定めている(1029条)。そして〜贈与〜の範囲、要件を1030条が規定〜。〜ほかに〜1044条は、903条の〜特別受益者の持戻し規定を準用〜(この場合、同条の相続分は遺留分と読み替えられる)、これにより特別受益の持戻しを行い、遺留分算定の基礎財産とすることになる。
 〜それ故、遺留分の基礎財産として〜加算されるのは、「1030条の贈与」の他に、「903条の特別受益(遺贈、生計の資本としての贈与)」があるといえる。

〜903条③は、持戻免除の意思表示が遺留分規定に反しない範囲内でその効力を有する旨を規定〜
〜持戻しをしない場合〜遺留分の額を定める1028条に反することは明らか〜
〜そもそも、遺留分の規定は被相続人の処分の自由を制限するもの〜、遺留分算定のために持戻しを行うのに〜行わない場合の遺留分に反しないかを問うのは、同義反覆的な矛盾〜
〜持戻免除の意思表示には同条③により〜効力を有することはない。

〜以上のとおり〜、〜持戻免除〜している場合〜も、これを無視し〜903条①〜贈与の価額は1030条に定める制限なしに遺留分算定の基礎財産に算入すべき