Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

遺留分減殺後の登記の方法〈旧法記事〉

〈この記事は、法改正前のものです。現在では妥当しませんが参考として残しております。〉
 遺留分減殺請求があると、これにより取り戻された権利は、遺留分権利者の固有財産となり、相続財産でなくなる。従って、その後の手続は「共有物分割」など、地裁の手続となる。

ただし、遺言による「割合的包括遺贈」、「相続分の指定」、「相続分の指定を伴う遺産分割方法の指定」の場合や、割合的指定のある「相続させる遺言」については、家裁の遺産分割の手続となる、
と言うのが現在の裁判所実務のようです。

しかし、登記先例や質疑応答を見る限り、これを意識したようなものは見当たりません。

1.相続登記未了の場合

 〜不動産が乙に遺贈され、その登記前に相続人丙から遺留分減殺請求があったときは、直接丙のために登記〜できる。(昭和30年05月23日民甲973)

〜遺贈〜登記未了のうちに遺留分に基づく減殺の判決があった場合、直接遺留分権利者のためにする相続による所有権移転登記の原因日付は、相続開始の日〜(登研142号))

2.相続の登記があった後の場合

相続登記後も、遺留分減殺を原因とした所有権移転登記申請はできる。
〜「遺留分減殺」を登記原因とした所有権移転の登記は、贈与or遺贈の登記後に遺留分減殺請求があり、遺留分権利者名義に所有権移転登記をする場合が一般的〜〜。が、相続の場合も〜遺留分権利者を害する場合もあり〜ので、「相続」を原因とした所有権移転登記後においても、「遺留分減殺」を原因とした所有権移転登記申請は許される〜。(登研382号)

相続登記完了後〜相続人の1人について遺留分侵害による相続分減殺の判決があった場合には、持分移転の登記をすべき〜。(登研83号)
・書式精義p1513:判決による遺留分減殺登記の書式

3.遺贈の登記があった後の場合

 包括遺贈〜の登記〜後、相続人から遺留分減殺請求を受けたときは、遺贈の登記を抹消することなく、「遺留分減殺」を登記原因として所有権移転の登記をしてさしつかえない。(昭和30年05月23日民甲973)

遺贈を受けた者がその所有権移転登記を受けた後、共同相続人から遺留分減殺の請求がされた場合、その遺留分減殺請求をした共同相続人の1人が自己の持分のために受遺者(登記名義人)との共同申請により、遺留分減殺を登記原因とする所有権移転の登記申請〜できる。(登研511号)
(1)〜相続人が〜自己の持分のみにつき「遺留分減殺」を登記原因として受遺者との共同申請により所有権(所有権の一部)移転登記申請をすることができる〜。
(2)〜登記権利者〜が〜相続人であることを証する書面のみで足りる〜