Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

東京家裁:遺留分放棄許可の取消

昭和44(家ロ)30 遺留分放棄許可審判の取消申立事件
昭和44年10月23日 東京家審
要旨抜き書き

遺留分放棄の許可は〜理由とした事情が明らかに変更し〜実情に適しなくなり、かつ申立人が放棄意思をひるがえしている場合〜相続開始前であれば〜取り消すことができる。

 申立人は〜Hと亡〜との間の二男〜、Hの後妻のUと昭和33年〜養子縁組〜。
 〜Uの財産〜に対する相続権があつたので〜Hの財産については〜〜申立人がただひとり相続開始前に遺留分放棄〜許可の審判〜。
 ところが、申立人はUと〜昭和43年〜協議離縁〜Uは、昭和44年〜死亡〜被相続人Hについては、まだ相続は開始されていない。

〜事情が変更〜明らかな現在〜その意思をひるがえして、遺留分放棄の意思を有しないことが明らかとなつた以上、相続の開始された場合ならいざ知らず〜遺留分放棄の状態を維持する必要はいささかもない〜。

 〜相続開始以前の遺留分放棄の制度自体が、旧民法のもとでは無効と〜されていた〜、現行民法〜新たに設けられた規定〜、相続開始以前〜は相続権の放棄が許されないのに対比して考えれば、安易に〜放棄を許せば、民法の平等相続の原則を、不合理、不公正に破壊することになりかねない〜
〜真意〜かどうか〜実質的の理由の合理性の有無を慎重に確かめる必要があると解せられている。つまり〜みだりに許されるべきでない〜

 〜明らかに〜理由とする基礎的前提事実関係が変更〜変更が極めて明らかである場合〜遺留分放棄許可はもはや実情に適しなくなつたものであつて、かえつて実情に合致させる措置をとることが要請されると解すべき〜
〜従つて、事情が変更した結果、現在その意思のなくなつた相続人を〜放棄の状態に留まらせる必要は少しもなく、むしろ〜旧に復すべき〜

 〜これは〜特別の事由を必要とせず〜廃除の取消を被相続人の側からは求めうることに比べて、十分理由のあるところ〜

 家事審判法の頃は、非訟事件手続法の準用により取り消し得るとされていたようですが、現在は、家事事件手続法78条①によって取り消すことになるようです。