大審院:時効取得の対抗要件たる登記

大正6年(オ)第888号 土地所有権確認並登記抹消請求ノ件
大正7年03月02日 大判
要旨抜き書き

1.土地所有権確認+登記抹消請求の件において、時効〜取得は原始取得〜、法律行為における意義の当事者なるものがないとはいえ、〜時効によって〜所有権を取得するのは時効完成の時期〜、一方において占有者が所有権を取得した結果、他方において〜所有者であった者の所有権が消滅する〜
〜時効完成当時の所有者は取得者に対する関係においてはあたかも伝来取得における当事者の地位にある。

2.土地所有権確認+登記抹消請求の件において、時効〜取得について〜第三者に対抗するには登記を必要とするが、〜完成の時期における所有者であった者に対しては完全に所有権を取得する〜敢えて登記を必要としない。

理由

〜不動産物權の得喪+變更の登記は當事者以外の第三者に對抗する〜方法に過ぎずして、當事者竝に〜一般承繼人との間に於ては登記なくして其效力を生する〜176條+177條〜明か〜

〜故に民法177條を適用するには其對抗を受くる者が所謂第三者に該當するや否やを確定せざるべからず〜
〜時効に因る不動産所有權の取得は原始取得なるを以て法律行爲に於ける意義の當事者なるものなしと雖も、時效に因り不動産の占有者か其所有權を取得するは其時效完成の時期に在りて、

一方に占有者か所有權を取得するの結果〜所有者たりし者の所有權消滅する〜、時效完成當時の所有者は〜取得者に對する關係に於ては恰も傳來取得に於ける當事者たる地位に在るものと看做すへきもの〜

〜從て時效に因る不動産の所有權の取得に付き〜第三者に對抗する〜爲めに登記を必要なるものとするも、時效完成の時期に於ける所有者〜に對しては完全に所有權を取得〜敢て登記を必要とすることなきもの〜

〜本件〜元〜E外30餘名の所有なりしところ、分割の際被上告人の先代Bの所有と爲したるも其引渡を了せさりしよりEに於て之を保管し來りたるを、大正4〜被上告人か右Bの家督相續人なるより同人に對し所有權移轉の登記を爲したるものなれば、〜係爭不動産の所有權を時效に因り取得したりとする時期に於ける所有者にして若し被上告人若くは其先代Bなりとすれは被上告人は第三者にあらざるを以て上告人は登記なくして其所有權取得を被上告人に對抗し得へきものとす

〜然るに原判決は〜係爭不動産の所有權が其所有者に異動を生じたる事實を確定しながら、上告人の時效に因る所有權取得當時の所有者の何人たるやを確定することなく、漫然其取得に付き登記なきを以て之れを被上告人に對抗し得ざる旨判示〜理由不備の不法〜破毀〜