Genmai雑記帳

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東京高裁:相続させる遺言の放棄

平成21年(ラ)第985号 遺産分割審判等に対する抗告事件
平成21年12月18日 東京高裁
要旨抜き書き

 特定の遺産を特定の相続人に相続させる〜遺言〜特段の事情のない限り、何らの行為を要せずして〜被相続人の死亡の時に直ちに相続により承継される〜、〜遺産分割審判事件〜において〜遺言の利益を放棄する旨の陳述をしただけでは〜遺産分割の対象となる〜とは解されない。

原審

〜本件不動産〜+〜現金〜を〜Y1が取得〜、〜貯金債権〜のうち〜不動産の価額並びに同貯金債権額+同現金額を合計した総額の3分の1相当額の分を〜X+相手方がそれぞれ取得〜その余の分を抗告人Y1が取得する旨の遺産分割審判〜、〜

高裁

(1)〜特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」趣旨の遺言は、遺言書の記載から〜遺贈であることが明らかであるかor遺贈と解すべき特段の事情のない限り、当該遺産を当該相続人をして単独で相続させる遺産分割の方法が指定〜と解すべき〜

〜特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」趣旨の遺言があった場合には〜特段の事情のない限り、何らの行為を要せずして〜当該遺産は、被相続人の死亡の時に直ちに相続により承継される〜(平成元年(オ)174・平成3年04月19日二小判〜、〜平成10年(オ)1499・平成11年12月16日一小判〜)。

(2)〜抗告人Y1は〜遺言の利益を放棄する旨述べている〜が、上記のとおり〜相続開始時に〜不動産の所有権を何らの行為を要しないで相続により確定的に取得したもの〜、〜Y1の〜陳述だけにより本件不動産が被相続人の遺産として遺産分割の対象となる性質のものになるとは解されない。〜

さらに〜Xは、本件不動産について、被相続人が〜遺言を有効にしているから〜遺言どおりに〜承継をすべきである旨主張〜、〜全当事者間で〜不動産を遺産分割の対象財産である旨の合意が成立している場合〜とも認められない〜
(3)したがって〜不動産は、遺産分割の対象となるべき相続財産としての性質を有するものではない〜原審判は誤り〜

(3)なお〜、〜本件不動産〜は〜、〜、〜、〜、〜取得〜を嫌忌される財産〜、〜903条〜類推〜「生計の資本として贈与を受けた」ものとも認めがたく、仮に〜認められるとしても〜遺言の文辞に、全相続人の〜、〜、〜居住生活関係〜〜〜〜Y1だけに〜承継させた〜意味その他〜諸事情を〜考慮すると、被相続人が〜遺産分割による〜Y1の分割分から控除させない旨の持戻し免除の黙示的な意思表示が包含されているものと解釈するのが相当〜。〜特別受益ではない〜。

 相続させる旨の遺言により相続財産を承継した相続人は、遺言の利益を放棄することができないとされた事例【東京高決平成21年12月18日】 | 相続弁護士 | 本橋総合法律事務所で引用されていましたので読んでみました。

 「特定遺贈」ならいつでも放棄できるけれど、「相続させる遺言」なら「相続放棄」をしない限り承継せざるを得ない、と言う点が困る所ですね。
もう少し、うまくならないものでしょうか?