Genmai雑記帳

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最高裁(新):信用保証協会の動機の錯誤(中小企業でなかった場合)

平成27(受)1394 不当利得返還請求事件
平成28年12月19日 最一小判
裁判要旨抜き書き

〜保証協会と金融機関との間で保証契約〜融資が実行〜後に主債務者が中小企業者の実体を有しないことが判明した場合〜保証協会の保証契約の意思表示に要素の錯誤がない〜事例

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・原文
(抽出・加工あり。原文参照)

(3) 上告人〈銀行〉は,平成20年8月〜〜被上告人〈保証協会〉に〜信用保証を依頼〜。
〜〜セーフティネット保証制度〜が利用され〜た。
〜業況の悪化〜業種〜中小企業者に〜別枠で〜保証を行う制度〜中小企業者に該当〜について〜市町村長等の認定を受けるものとされている。
〜平成20年12月16日,a市長から〜認定を受けた。

(4) 〜会社は,平成20年12月26日,Bに〜事業を譲渡〜。
〜上告人+被上告人は〜保証契約の締結+〜貸付けの時点で知らなかった。
(5) 被上告人は,平成20年12月29日〜保証契約〜締結〜。〜
(6)〜平成21年1月〜貸付け〜。
(7) 〜平成21年6月〜破産〜準備〜通知〜翌月以降〜弁済〜なかった。
(8)〜被上告人は,平成22年3月〜保証債務〜履行〜4925万〜円を代位弁済〜。

原審

 〜中小企業者であること〜保証契約〜締結〜の重要な要素〜,〜保証契約〜+貸付〜時点〜,〜事業譲渡によって〜中小企業者としての実体を失っていたにもかかわらず〜誤信して〜締結〜,〜保証〜意思表示には要素の錯誤〜。

最高裁

(1) 〜保証協会は,中小企業者等に対する金融の円滑化を〜目的〜保証等を業務〜(同法20条1項)。
したがって〜中小企業者でないことが判明〜,〜意思表示に動機の錯誤がある〜。
〜意思表示における動機の錯誤が法律行為の要素に錯誤があるものとしてその無効を来すためには〜動機が相手方に表示されて法律行為の内容となりもし錯誤がなかったならば表意者がその意思表示をしなかったであろうと認められる場合であることを要する。

そして,動機は〜,たとえそれが表示されても,当事者の意思解釈上〜法律行為の内容とされたものと認められない限り,表意者の意思表示に要素の錯誤はないと解するのが相当〜(〜平成26年(受)1351平成28年01月12日三小判〜)。

(2) 本件〜保証契約の締結前に,本件会社が事業譲渡によって本件制度の対象となる中小企業者の実体を有しないこととなっていたことが判明していた場合には,これが締結されることはなかったと考えられる。

しかし,金融機関が相当と認められる調査をしても,主債務者が中小企業者の実体を有しないことが事後的に判明する場合が生じ得ることは避けられないところ,このような場合に信用保証契約を一律に無効とすれば,金融機関は,中小企業者への融資を躊躇し,信用力が必ずしも十分でない中小企業者等の信用力を補完してその金融の円滑化を図るという信用保証協会の目的に反する事態を生じかねない。

そして,上告人は融資を〜被上告人は信用保証を〜それぞれ業とする法人〜中小企業者の実体を有しないことが事後的に判明する場合が生じ得ることを想定でき,〜あらかじめ定めるなどの対応〜可能であった〜本件〜定めは置かれていない。

これらのことから〜誤認が〜事後的に判明した場合に〜保証契約の効力を否定することまでを上告人+被上告人の双方が前提としていたとはいえない〜
もっとも,金融機関は〜調査〜義務を負う〜,〜義務に違反し〜結果〜締結〜場合〜は,被上告人は,そのことを主張立証し〜免責条項にいう金融機関が「保証契約に違反したとき」に当たるとして〜責めを免れることができる〜(前掲〜平成28年01月12日三小判〜)。

以上によれば〜会社が中小企業者の実体を有することという被上告人の動機は,それが表示されていたとしても,当事者の意思解釈上〜保証契約の内容となっていたとは認められず,被上告人の〜保証契約の意思表示に要素の錯誤はないというべき〜である