Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

「最高裁・預金の遺産分割判決」:鬼丸かおるの補足意見

★最高裁(新):預貯金債権は遺産分割の対象となる。(判例変更) - g-note(Genmai雑記帳)についての裁判官鬼丸かおるの補足意見

1 遺産分割とは〜遺産共有〜となった個々の相続財産について〜共有関係を解消し〜単独所有or民法〜の共有関係にすること〜から,
〜対象〜財産は,相続開始時に存在〜,分割時にも存在する未分割の相続財産〜
〜多数意見〜とおり,普通預金債権+通常貯金債権は相続開始と同時に当然〜分割〜債権で〜ない〜〜相続開始時の残高につき準共有〜遺産分割の対象となる。
一方,相続開始後〜入金〜増加した分〜は〜分割の対象となるか〜必ずしも明らかでなかった。

〜多数意見〜とおり,上記各債権は,口座において管理されており,預貯金契約上の地位を準共有する〜相続人が全員で〜解約しない限り,同一性を保持〜常に〜残高が変動し得るものとして存在する〜から,〜上記契約の性質上〜入金額が合算された1個の預貯金債権を準共有〜。

そうすると〜分割の対象とならないと解する〜ことはできず〜全体が〜対象となる〜と解する〜。多数意見は〜明示しないものの〜以上のように解する〜相当〜

2 以上のように解すると,

①相続開始後に〜生じた果実,
②〜相続開始後〜処分等により〜対価等として〜取得した〜代償財産(〜保険金,〜売買代金等),
③相続開始と同時に当然〜分割された可分債権の弁済金等が被相続人名義の預貯金口座に入金された場合〜,
これらの〜合算〜預貯金債権が遺産分割の対象となる(このことは,果実,代償財産,可分債権がいずれも遺産分割の対象とならない〜ことと矛盾〜ない。)。

〜増加〜分〜は相続開始時に〜存在し〜ないところ,具体的相続分は相続開始時の相続財産の価額を基準として算定されるもの〜(〜903条904条の2),具体的相続分の算定の基礎〜相続財産の価額をどう捉えるかが問題〜。

この点について

〜相続開始時の〜残高を具体的相続分の算定の基礎とすることが考えられる一方,
上記②,③の場合〜入金額〜は相続開始時にも別の形で存在〜,〜不動産の価額が相続開始後に上昇した場合等とは異なるから〜入金額に相当する相続開始時に存在した財産の価額を具体的相続分の算定の基礎に加えることなども考え得る〜

もっとも,

〜具体的相続分は「遺産分割手続における分配の前提となるべき計算上の価額」or「その価額の遺産の総額に対する割合」を意味する〜(平成11年(受)110号平成12年02月24日一小判〜),早期に〜確定することが手続上望ましいところ,
後者の考え方〜,〜残高の変動に応じて具体的相続分も変動し得ることとなり〜確定が遅れかねないなどの〜手続上の問題〜。

従来から家裁〜実務において,上記①〜③の財産も〜全員の合意があれば具体的相続分の算定の基礎ないし〜遺産分割の対象としてきたとみられるところであり〜相続人間の実質的公平を図るという見地から〜従来の実務の取扱いとの均衡等も考慮に入れ〜今後検討〜望まれよう。