Genmai雑記帳

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「最高裁・預金の遺産分割判決」:木内道祥の補足意見

★最高裁(新):預貯金債権は遺産分割の対象となる。(判例変更) - g-note(Genmai雑記帳)についての、裁判官木内道祥の補足意見。(抽出・加工あり。原文参照)
多数意見は,遺産分割の仕組みが

〜相続人間の実質的公平を図ることを旨〜共有状態の解消を図るもの〜,被相続人の財産をできる限り幅広く対象とすることが望ましいことを前提に,預貯金が現金に極めて近く〜調整に資する財産〜ことなどを踏まえて,〜相続人全員の合意の有無にかかわらず遺産分割の対象となるとしたもの〜。

私は,以上の点に加えて,

預貯金債権は〜額面額をもって価額と評価〜できることからしても〜全員の合意の有無にかかわらず遺産分割の対象となると考える〜。

遺産分割の審判〜「各相続人の具体的相続分の算定」と「取得財産の決定」という二つの場面で,個別の相続財産の価額を評価〜求められる。
前者〜,〜相続開始時〜〜財産,遺贈や生前贈与〜持ち戻〜財産の価額に基づいて,寄与分を考慮した上で,各相続人の具体的相続分の価額+割合が算定〜(903条904条の2)。
後者〜分割時に存在する財産〜その時点の価額で評価〜,各相続人の具体的相続分〜割合に応じて〜,各〜取得〜財産が定められる。

しかるに,債権については,

〜有無,額面額+実価(評価額)について〜全員の合意がある場合を除き,一般的に評価が困難〜。
〜広く一般的に遺産分割の対象としようとすると〜具体的相続分の算定や取得財産の決定が困難となり〜分割手続の進行が妨げられ〜他の〜財産についても遺産分割の審判〜できないという事態を生ずるおそれ〜
したがって,額面額をもって実価(評価額)とみることができない可分債権〜は,〜合意がない限り,遺産分割の対象とはならず,相続開始と同時に当然に〜分割される〜と解するのが相当〜

903条,904条の2は,〜5編〜3章〜3節「遺産の分割」の前に位置〜が,遺産分割の基準である具体的相続分を算定するためのものであるから,
遺産分割の対象とならない〜可分債権は,これらの規定にいう「相続開始の時において有した財産」には含まれない〜

これに対して,預貯金債権〜支払の確実性,現金化の簡易性等に照らし,その額面額をもって実価(評価額)とみることができる〜
〜遺産分割の対象とすることが遺産分割の審判を困難ならしめるものではない。

したがって,

預貯金債権は,共同相続人全員の合意の有無にかかわらず,遺産分割の対象となる〜相当〜。