Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:破産手続中の弁済

(2010-09-16分の改記分)
平成17(受)1344 不当利得返還請求事件
平成18年01月23日 最二小判
裁判要旨抜き書き

1 破産者は〜手続中に自由財産の中から〜任意の弁済〜妨げられない。
2 地方公務員共済組合〜破産手続中に〜自由財産である退職手当の中から〜貸付金〜についてされた弁済が,組合員による任意の弁済〜というためには〜破産宣告後に,自由財産から〜弁済を強制されるものではないことを認識しながら〜自由な判断により〜弁済した〜ことが必要〜。

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(抽出・加工あり。原文参照)

(5) 〜E事務組合〜は,①〜破産宣告時に退職したとすれば支給されたであろう退職手当に相当する〜円の4分の1〜を〜財団に〜交付〜
②〜上告人に対し〜地方公務員等共済組合法〜115条②に基づき〜貸付金残金〜〜円を控除して〜払い込み〜
③その後,被上告人に対し〜残り〜を支給〜
(6) 被上告人は〜〜地共法115条②〜の方法(〜組合に〜支払うべき金員を〜給与から控除して〜払い込む方法。〜)により〜弁済する〜合意〜なかった。

〜旧破産法〜,破産財団を破産宣告時の財産に固定〜とともに,破産債権者は破産手続によらなければその〜行使〜できない〜と規定〜破産者の経済的更生と生活保障を図っている〜,
〜破産手続中,破産債権者は〜債務者の自由財産に対して強制執行〜などはできない〜が,破産者が〜自由な判断により自由財産の中から破産債権〜任意〜弁済をすることは妨げられない〜

もっとも,自由財産は本来破産者の経済的更生と生活保障のために用いられるもの〜,
〜破産手続中に〜弁済を強制されるものではない〜,〜弁済が任意の弁済に当たるか否かは厳格に解すべき〜,少しでも強制的な要素を伴う場合には任意の弁済〜ということはできない。
〜そして,地共法の弁済方法は〜,〜給与支給機関が〜組合員の債務の弁済を代行するものにほかならず,〜破産宣告を受けた場合〜地共法115条②により〜自由財産である退職手当の中から組合の破産債権につき地共法の弁済方法で弁済を受け得る地位が組合に付与されたものと解することはできない(〜昭和62年(オ)1083平成2年07月19日一小判〜)。

〜組合員の破産手続中に〜自由財産である退職手当の中から地共法の弁済方法により〜組合に対する貸付金債務についてされた弁済が,組合員による任意の弁済であるというためには,組合員が,破産宣告後に,自由財産から〜弁済を強制されるものではないことを認識しながら,その自由な判断により,地共法の弁済方法をもって〜弁済したものということができることが必要〜。

〜本件〜,〜合意〜なかった〜,〜任意の弁済〜いうことはできない。
〜上告人は,法律上の原因なく本件払込金を利得〜,〜被上告人は,同額の損失を被った〜,〜不当利得返還請求権を有する〜。

地方公務員等共済組合法

(掛金等の給与からの控除等)
第115条 組合員の給与支給機関は、毎月、〜給与を支給する際〜給与から掛金等に相当〜金額を控除して〜組合員に代わつて組合に払い込まなければならない。
2 組合員(〜)の給与支給機関は、組合員が「組合に〜支払うべき掛金等以外の金額」or「前項〜により控除して払い込まれなかつた掛金等の金額」があるときは、〜給与(〜退職手当〜を含む〜)を支給する際、組合員の〜給与からこれらの金額〜を控除して〜組合員に代わつて組合に払い込まなければならない。

・・・破産申立て以後については、この判例で対応できますが、問題は、破産や再生の準備中です。その間、上記法律を根拠に、組合だけが弁済を受け続けます。また、同様に「互助会」などの債権も天引きされてしまいます。

 ここら辺は、こうした債権者に、債務整理手続や、民事上の債権者平等と入った理屈を斟酌して協力してもらうほかなく、実際には、それができてないのが現状です。(貸金業などですと、取立禁止の主張もできるのですが・・・)