Genmai雑記帳

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福岡高判:根抵当の被担保債権の消滅時効

(2013-09-02分の改記分)

昭和29(ネ)22 約束手形金請求控訴事件
昭和32年01月19日 福岡高判
判示事項

根抵当によつて担保される債権の消滅時効の起算点

原文
(抽出・加工あり。原文参照)
被控訴人の主張

〜根抵当によリ担保される債権は、基本契約の存続する限り繰リ返し発生消滅して確定することなく、該契約の終了するに及んで始めて確定〜。
〜たんに取引上の債務が所定の限度額に達したとの事由で終了し、被担保債権が確定するものではない〜該債権の消滅時効は基本契約の消滅の時から進行する〜

高裁

〜根抵当によつて担保される債権は〜当座勘定取引契約(当座貸越契約)とか交互計算契約上の債権等であれば格別〜弁済期の定あるときは〜一般金銭債権とひとしく、消滅時効は弁済期から進行〜

〜基本契約たる根抵当契約の終了の時をもつて〜「権利を行使することを得る時」と解すべきではない。

 換言すれば、基本契約の存続中に〜も〜被担保債権の消滅時効の進行することは、通常の抵当権によつて担保される債権が消滅時効によつて消滅するのと同様〜。

〜この場合、担保物権の付従性から〜被担保債権の消滅により、通常の抵当権は消滅する〜、根抵当権付従性を排除する性格〜を有するため〜債権の消滅によつては、当然にその消滅をきたすものでなく〜弁済期到来せる場合といえども、根抵当権を実行するには、先ず解約等により根抵当契約を終了せしめることを要するという〜特異性を示す〜が、被担保債権自体としての特異性を見ることはない。

消滅時効との関係についていえば、該債権の行使をなしうる時期が〜担保の特異性によつて自然影響を受け根抵当契約消滅の時となるものではない。

〜本〜債権が、当座勘定、交互計算契約〜という証拠もなく、手形取引上の一般債権に外ならないので、〜約束手形債権ないし貸金債権をもつて、当座勘定契約上の債権等と同視し、担保契約の終了、消滅をまつてはじめて嚢権の行使をなしうる時が到来するとの主張は、当裁判所の採用しない見解である。