最高裁:将来の診療報酬債権の譲渡

平成9(オ)219 供託金還付請求権確認
平成11年01月29日 最三小判
裁判要旨抜き書き

1 将来発生すべき債権〜債権譲渡契約の締結時に〜目的債権の発生の可能性が低かったことは〜契約の効力を当然には左右しない。
2 医師が〜基金から将来8年3カ月の間に支払を受けるべき〜診療報酬債権の一部を〜債権譲渡〜した場合〜債務の弁済のために〜契約〜したとの一事をもって〜6年8カ月目から1年の間に発生すべき〜債権につき〜安定〜発生〜が確実に期待されたとはいえないとし〜右期間〜部分の効力を否定した原審〜違法〜

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1 「〜医師〜Dは、昭和57年11月〜、上告人と」〜上告人のDに対する債権の回収を目的として〜同年12月〜日から平成3年2月〜日までの間に社会保険診療報酬支払基金〜か
ら支払を受けるべき診療報酬債権を〜上告人に〜譲渡する〜契約〜を締結〜、昭和57年11月〜日、基金に〜確定日付のある証書をもって通知〜
 昭和57年12月から昭和59年10月まで  毎月44万〜円
 昭和59年11月から平成3年1月まで   毎月91万〜円
 平成3年2月             101万〜円   合計7,946万〜円

2 Dについて、昭和59年6月〜日から平成元年3月〜日までの間に〜国税の納期限が到来〜。
3 〜国税局長は、平成元年五月〜、〜滞納処分〜、Dが平成元年7月〜から平成2年6月〜までの間に〜支払を受けるべき各診療報酬債権〜を差し押さえ〜
4 基金は〜債権者不確知等を原因とし〜供託〜
5 〜国税局長は、平成元年10月〜から平成2年8月〜までの間に、右各供託金についてのDの還付請求権を順次差し押さえ〜供託官に〜その旨の各差押通知書〜送達〜

二 〜被上告人は〜元年を超えた後に弁済期が到来する〜部分は無効〜、〜債権者はD〜被上告人はこれらの〜供託金〜のDの還付請求権を差し押さえた〜被上告人が右各還付請求権について取立権を有することの確認を求めている。

原審

1 将来発生すべき診療報酬債権を目的とする債権譲渡契約は、「始期と終期を特定」して「譲渡に係る範囲が確定」されれば、一定額以上が安定して発生することが確実に期待されるそれほど遠い将来のものではないものを目的とする限りにおいて、有効〜
〜その有効性が認められる期間の長さは、一定額以上の債権が安定して発生すべき確実性の程度を、事案に応じ個別具体的に検討して判断されるべき〜、

医師等が〜診療報酬債権を将来にわたり譲渡すると経営〜短期間のうちにひっぱく〜予想され、〜経済的信用が高く評価されている医師等が将来発生すべき診療報酬債権まで譲渡しようとし債権者がこれを求めることが生ずるのは、現実には右時点で既に医師等の経済的な信用状態がかなり悪化〜と考えられる〜、一般的には〜契約のうち数年を超える部分の有効性は、否定されるべき〜
 〜契約〜締結〜時点で、既にDの経済的な信用状態は悪化〜上告人もこれを認識〜と推認〜できる。
〜本件債権部分〜は〜締結された時点に〜安定〜発生〜が確実に期待される〜とは到底いい得ない〜契約の効力は〜認めることができない。

最高裁

1 将来発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約の有効性について〜
(1)債権譲渡契約にあっては、譲渡の目的〜債権がその発生原因や譲渡に係る額等をもって特定される必要があることはいうまでもなく、将来の一定期間内に発生しor弁済期が到来すべき幾つかの債権を譲渡の目的とする場合には、適宜の方法により右期間の始期と終期を明確にするなどして譲渡の目的とされる債権が特定されるべき〜

 〜原判決は、将来発生すべき診療報酬債権〜債権譲渡〜について、一定額以上が安定して発生することが確実に期待されるそれほど遠い将来のものではないものを目的とする限りにおいて有効と〜している。
 将来発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約にあっては、契約当事者は、譲渡の目的とされる債権の発生の基礎を成す事情をしんしゃくし、右事情の下における債権発生の可能性の程度を考慮した上、右債権が見込みどおり発生しなかった場合に譲受人に生ずる不利益については譲渡人の契約上の責任の追及により清算することとして、契約を締結するものと見るべき〜
〜契約の締結時に〜債権発生の可能性が低かったことは〜契約の効力を当然に左右するものではない〜。

(2)もっとも、契約締結時における〜〜〜等を総合的に考慮し、〜社会通念に照らし〜著しく逸脱〜or他の債権者に不当な不利益〜などの特段の事情〜場合には〜公序良俗に反〜否定されることがあるものというべき〜

(3)〜最昭和51年(オ)435同53年12月15日二小判〜は、契約締結後1年の間に支払担当機関から医師に対して支払われるべき診療報酬債権を目的とする債権譲渡契約の有効性が問題とされた事案において〜将来発生すべき債権を目的〜債権譲渡契約の有効性に関する一般的な基準を明らかにしたものとは解し難い。

本件

〜期間+譲渡に係る各債権の額は明確に特定〜、上告人以外のDの債権者に対する対抗要件の具備においても欠けるところはない。〜〜〜〜十分な合理性がある〜、
〜本件債権部分に係る〜契約の効力を否定して被上告人の請求を認容すべきものとした原審の判断〜誤り