東京高裁:招集通知記載の取締役選任議案の人数

平成2(ネ)2871 株主総会決議取消請求控訴事件
平成3年03月06日 東京高判
要旨抜き書き

〜総会の招集通知に記載する、選任すべき取締役の数は、「会議の目的たる事項」に含まれる。従って、員数を変更して選任した場合、決議の方法が法令に違反する。

(抽出・加工あり。原文参照)

(一)〜招集通知〜議案〜「取締役全員(3名)任期満了につき3名選任の件」とされ〜候補者として控訴人、A+Bの3名が掲記〜、ところが〜総会では〜決議に先立ち〜株主から選任すべき〜員数を4名とする〜提案〜、それに基づき選任すべき取締役を4名とし〜Cを加えた4名について、一括〜投票〜その結果本件決議〜

(二)商法232条②は、株主総会の招集通知に「会議の目的たる事項」を記載することを要求〜株主が決議すべき事項が何であるかを予め知って表決に備えさせ、もって株主総会の決議事項についての株主としての権利の行使に遺漏なからしめるためである〜

〜取締役〜選任〜議案〜における選任すべき員数の関係についてみると、累積投票の請求が認められる場合はもとより、そうでない場合においても、議案としては単に「取締役選任の件」として特に員数を記載しなくても、会社の規模、株主数、従来からの慣行等によって〜総会で選任されるべき取締役の員数についてはおのずと一定の範囲内であることが株主も当然に予想〜認識し得る客観的状況にあり、その議案に対する株主の態度の決定につき格別の支障もなく、株主の権利を害する虞れがない等の特段の事情の存する場合はともかく〜
〜原則として員数を明らかにすべき〜員数の明示は「会議の目的たる事項」に含まれる〜〜

〜取締役の員数は、取締役会+取締役が会社経営上極めて重要な地位・立場〜、代表取締役の決定にも多大の影響〜、〜日常業務の執行の面においても決して無視し得ない問題であること等の事情〜それは会社経営の根幹にも関わる重要事〜、株主の権利の帰趨に与える影響にも甚大なもの〜、〜選任〜員数が〜最小限の3名〜か、それとも例えば10名〜かは〜予め知らせなければ、株主に〜適切な対応を期待することは困難〜、〜権利を害する結果を招来する虞れ〜

本件についてみると

〜総会の招集通知は取締役の選任につき「取締役全員(3名)任期満了につき3名選任の件」〜、員数を記載していたのであるから、招集の手続に法令違反はないが、招集通知上は「取締役3名の選任」が議案とされていたのに、本件決議は「取締役4名の選任」を議案としてなされた〜から、選任すべき取締役の員数を異にしている点において招集通知に記載のない事項についての決議〜、〜決議の方法が法令に違反〜。

〜さらに〜招集通知の記載の内容からみて同一性を失わないと客観的に判断できる範囲での議案の修正は可能と解されてはいるが、少なくとも員数を増やすことは右の同一性を失わせる〜。

これも良く牽かれる判例ですね。
実際には、中小企業の招集通知なり議事録を見ると、人数の記載がない場合の方が圧倒的に多く、この判決のようになっておりません。
大半の場合は、上記の「特段の事情の存する場合」のように、こうした変更について、株主全体の合意が推認できるような場合が多いからだと思います。

ちなみに、これが問題になるのは、あくまで「取締役会設置会社の場合」ですね。