最高裁:婚姻費用分担に関する審判

昭和37(ク)243 生活費請求事件の審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告
昭和40年6月30日最大決
裁判要旨

一 家事審判法~の婚姻費用の分担~処分の審判は、憲法~に違反しない。
二 婚姻費用分担義務を前提とする審判がなされた場合でも、右分担義務の存否について~別~訴を提起~を妨げない。
三 家裁は、審判時から過去に遡つて、婚姻費用の分担に関する処分を~できる。

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・全文
(以下、抽出・加工あり。原文参照)

憲法は32条~何人も裁判所において裁判を受ける権利を奪われないと規定~82条~裁判の対審+判決は、公開の法廷で~行う旨を定めている。
すなわち、憲法は基本的人権として裁判請求権を認めると同時に法律上の実体的権利義務自体を確定する純然たる訴訟事件の裁判については公開の原則の下における対審及び判決によるべき旨を定めたもの~

従つて、性質上純然たる訴訟事件につき当事者の意思いかんに拘らず、終局的に事実を確定し、当事者の主張する実体的権利義務の存否を確定するような裁判が、憲法所定の例外の場合を除き、公開の法廷における対審+判決によつてなされないとするならば、それは憲法82条に違反すると共に同32条が基本的人権として裁判請求権を認めた趣旨をも没却する~(昭和26年(ク)109・35年7月6日大決~)。

しかしながら、家事審判法~に規定する婚姻費用分担に関する処分は、民法760条を承けて、婚姻から生ずる費用の分担額を具体的に形成決定し、その給付を命ずる裁判~、家裁は夫婦の資産、収入その他一切の事情を考慮して、後見的立場から、合目的の見地に立つて、裁量権を行使して、その具体的分担額を決定するもの~その性質は非訟事件の裁判~、純然たる訴訟事件の裁判ではない。

従つて、公開の法廷における対審+判決によつてなされる必要はなく、右家事審判法の規定に従つてした本件審判は何ら右憲法の規定に反するものではない。

~家裁が婚姻費用の分担額を決定するに当り、過去に遡つて、その額を形成決定することが許されない理由はなく、所論の如く将来に対する婚姻費用の分担のみを命じ得るに過ぎないと解すべき何らの根拠はない。

 叙上の如く婚姻費用の分担に関する審判は、夫婦の一方が婚姻から生ずる費用を負担すべき義務あることを前提として、その分担額を形成決定するものであるが、右審判はその前提たる費用負担義務の存否を終局的に確定する趣旨のものではない。

 これを終局的に確定することは正に純然たる訴訟事件であつて、憲法82条による公開法廷における対審+判決によつて裁判さるべきものである。~かかる費用負担義務そのものに関する争であるかぎり、別に通常訴訟による途が閉されているわけではない。

 これを要するに、前記家事審判法の審判は、かかる純然たる訴訟事件に属すべき事項を終局的に確定するものではない~憲法~に反するものではない。