Genmai雑記帳

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最高裁:地方公共団体による道路管理と敷地占有権

平成14(受)133 占有権に基づく妨害予防請求事件
平成18年2月21日 最三小判
裁判要旨

 地方公共団体が,道路を一般交通の用に供するために管理~,~管理の内容,態様によれば,社会通念上~事実的支配に属するものというべき客観的関係にあると認められる場合~,~道路法上の道路管理権を有するか否かにかかわらず~道路~敷地について占有権を有する。

裁判例結果詳細・・・・全文
(以下、抽出・加工あり。原文参照) 

~上告人が,道路法所定の~「道路管理者」~として~「本件道路敷」~によ って構成される~「本件道路」~を現に管理しているから,本件道路敷について占有権を有するところ,被上告人らが上告人の占有を妨害するおそれがあるとして,~民法199条に基づき ,占有の妨害の予防を求める事案~

(1)~本件道路の現況~F駅東口から県道G線に通じる幅員7.20m,延長47.80mの「~市道50468号線」~,同駅前を発着場所とするバス,タクシーや電車の乗降客等が往来する終日交通量の多い道路~
 
(2) 国は,明治33年初めころ~Gから~土地の寄附を受けて~所有権を取得~,~道路を開設~供用を開始~。
その後,旧道路法(~)の下~,埼玉県知事が国の機関として本件道路を県道として管理~,
道路法が昭和2 7年12月~施行~後,昭和42年2月までは,埼玉県が,国から~本件道路敷の無償貸付けを受け,道路管理者として,本件道路を県道として管理~,
同年3月以降は,上告人が,国から~無償貸付けを受け,道路管理者として~市道として管理~。

(3) 上告人は,昭和42年3月以降,道路管理者として,本件道路を一般交通の用に供するため,本件道路について,
道路法28条に基づき,道路台帳の調製+保管を行い,
同法42条に基づき,昭和45年には道路舗装補修工事を,昭和51年には道路補修工事を,昭和63年には道路舗装工事を行うなど~常時良好な状態に保つために必要な維持,修繕を行い,
同法第3章第3節に基づき,電線,電話線,水道管等の架設,埋設工事のため本件道路を継続して使用する必要がある場合には,道路の占用の許可を与え,
同法71条に基づき,被上告人らが本件道路について後記(4)の交通妨害行為を行う都度,監督処分を行い,これによってなお原状を回復することができないときには,行政代執行法に基づく代執行をするなど,
本件道路の管理,占有をしている。

(4)~所有権移転登記~をしていなかったため~登記名義はB1のまま~,平成4年10月~,被上告人株式会社B2建設は~目録1記載の土地について,同D商事株式会社は同目録2記載の土地について,それぞれ~売買を原因とする所有権移転登記を受けた。
 
 その後,被上告人らは~本件各土地の所有者である旨主張 して,上告人に対し,本件各土地を時価で買い取るか~代替地を提供するよう 執ように要求~。
 
-これに対し,上告人が,本件各土地は国の所有であり~要求に応じることはできないとして~拒否~,
 
-被上告人らは,上告人が何らの権原もなく被上告人らの所有する本件各土地を使用しているなどと主張して,平成5年10月~ころから平成9年9月~までの間,断続的に~道路の交通を妨害~あるいは,今にも本件道路の交通を妨害するかのような態度~。~今後も~妨害するおそれがある。
 
3 被上告人らは,国が~所有権を取得して~道路の供用を開始したことや,上告人が本件道路敷について占有権を有することを否認~争っている。

原審

 道路管理権は,道路管理者に対して,民法その他の私法上の権限とは全く無関係に,道路法によって独自に与えられたものであり,その内容+範囲は,同法が定めるところに限定されるというべき~。
-また,道路管理権は,あくまで道路を一般交通の用に供するために行使されるものであるから,これを行使することが,当然に,民法180条にいう「自己のためにする意思をもって物を所持すること」に当たるということはできない。~~。

最高裁

(1) 占有権の取得原因事実は,自己のためにする意思をもって物を所持するこ とであるところ(民法180条),ここでいう所持とは,社会通念上,その物がその人の事実的支配に属するものというべき客観的関係にあること~(大審院昭和15年(オ)第1号同年10月24日判決~)。

そうすると,

地方公共団体が,道路を一般交通の用に供するために管理しており~管理の内容,態様によれば,社会通念上,当該道路が当該地方公共団体の事実的支配に属するものというべき客観的関係にあると認められる場合には,当該地方公共団体は,道路法上の道路管理権を有するか否かにかかわらず,自己のためにする意思をもって当該道路を所持するものということができるから,当該道路を構成する敷地について占有権を有するというべき~

~~差し戻す~